日本の銃に関する認識 平成29年度卒 浅野 智久

 日本の銃に関する認識 



平成29年度卒 浅野 智久

 ライフル射撃にとって知名度の向上そして一般人への認知は常に課題である。知名度不足は部員不足の要因の一つになる可能性があり、実際名大ライフル射撃部も今年団体戦への出場が危ぶまれる事態になってしまった。メディアは認知度向上に一役買うが日本では射撃競技についての報道はほとんどない。しかし日本代表が弱いわけではなく、世界大会では定期的に入賞したりメダルを獲得したりしている。
 報道が少ない理由の一つは銃がただただ危険で社会に一般的にあるものではないとは思われているからではないだろうか。日本で報道される銃の情報はテロリストや犯罪者による乱射事件が主である。これにより、ことさら銃の危険性が強調され軍事以外での使用例が無視されているのである。しかし日本にも本数は少ないが競技用や猟のための銃はあり、まれな機会においてだが一般人も触れることができる銃も存在している。
スイスでは国民全員がスイスは銃社会であることを認識している。徴兵制のあるスイスでは銃(弾抜き)を家で管理することを許されており、部隊の入れ替えの時に電車の中で銃を持った兵隊に遇うことも珍しくない。また、チューリッヒ州限定にはなるが毎年クナーベンシーセン(Knabenschiessen)という祭りがある。そこでは13歳から17歳の少年少女がスイス軍の利用するライフルを5発撃ち点数を競う大会が存在し、今年は4千人以上の子供たちが参加した。成績上位者には賞金や賞品があり、入賞した学校のクラス(組)にも賞品として後日イベントが組まれることになる。観光客のみならずチューリッヒ市民はこの祭りを楽しみにしており、射撃大会を見学する人で射座の後ろはいっぱいになり、今年の見学者は正式発表だと約85万人にものぼる。このような行事やきちんとした教育のおかげか定かではないが、銃が有り余るほどあるスイスではアメリカのような銃事件の報道はない。
 しかし日本では銃は社会から無視されており、教育などは一切ない。唯一行われている教育も銃を所持しようと思っている人たちしか対象にしていない。ところが日本にも祭りなどで銃は登場する。射的では銃でコルクを飛ばしているがあれも銃である。殺傷能力はないかもしれないが殺傷能力に関係なく人のいる方向に銃口を向けるのはあり得ないことである。事実銃は玩具であっても人に向けないで下さいと書いてあるものもある。威力や距離に違いはあるが射的はライフル射撃などの競技と似てはいないだろうか。
 人間は自分の知らないものに対して必要以上に危険を感じることが多い。だからこそ確かに銃は危険なものかもしれないが、危険なものだからこそきちんと教育し理解をしていくことが重要なのではないだろうか。
 
 

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