「改革が進む、部活経営2.0」 第62代主将 絹笠 雅人

「改革が進む、部活経営2.0」

第62代主将 絹笠 雅人

今号の弾痕は期せずして合併号という特殊な形式をとることになり、その結果として普段は主将になりたての人間が執筆するメッセージを、主将の任期を終えたての時期に執筆することとなった。折角なので、第62代主将が何を考えて任期を全うしたかの思考の足跡を、そして第63代以降の幹部代を見て射撃部の未来に明るさを感じていることを書き遺せればと思う。
   私は主将として、「ライフル射撃部はライフル射撃をしに来ている」という(運動部ならば本来当たり前の)意識を部活全体で共有したいと志していた。これは、先代までの先輩方が射撃環境をビームライフルや倉庫などのハード面で整えてくださったことでやっと存分に射撃に集中できる環境になったにもかかわらず、射撃部員の心理面の”サークル化”とでも呼ぶべき現象が著しかったためである。
 私はライフル射撃部という極めて特殊な運動部は、他のスポーツがてんで駄目だったヤツや、体育会系の汗臭いノリになじめなかったヤツでも体育会所属の運動部として目標に向かって突き進める部活であってほしいと願っている。他ならぬ私自身がライフル射撃部の上記の性質に救われた人間だからだ。
 そうして主将として1年間で、ライフル射撃部は少しだけ運動部らしくなったのではないかと思う。
しかし心残りはあり、お互いにアドバイスを交わすことや大会ごとの目標の公言を私は積極的に行っていたが、それを部活の風土やシステムに落とし込むことなく個人的取り組みとして行うにとどまってしまったことである。
 次に、次期幹部代である63代について述べる。結論から言えば、彼らは私の想像を越えて、彼ら各々の目指す理想の部活へと積極的にアクションを起こしていることを我が後輩ながら誇らしく思う。
 私は次期幹部代への引継ぎが近づくにつれ、モチベーション向上だけでなく次期幹部代のエンパワーメント(底力の発揮)を願っていた。次期幹部代は組織変革への危機感が強く、そして行動力・実行力において私達の代よりもはるかに優れていたため、彼らが頑張れば私たちの代では注力できなかったこと、つまり60年間ろくに抜本的改善のない錆びついた部活の体制・ルール・慣習の数々を改革できると思っていたからだ。
 そして、その願いは結実してきているように思う。私は就職活動とゼミ論文に忙殺されなかなか部活に顔を出せていない(申し訳ない)が、それでも聞こえてくる話や部活LINEだけでも着々と部活が変わっていっていることを感じるからだ。
大学の部活の幹部代、つまり部活経営は学生生活で学業を除けば最も価値のある活動だと思う。その機会を最大限活かしている彼らには大きく期待している。
懸念があるとすれば、次期幹部代は1人1人で理想の部活像をはっきりと、あるいはぼんやりと持ってはいるが、その理想像が幹部代全体で策定・共有されていないことである。今代の幹部代で部活の経営方針を決めることで彼らのエネルギーの方向を束ねられればさらにパワフルに部活の改革が進むだろう。




「睦月落書」 第63代主将 永木 遥

「睦月落書」

第63第主将 永木 遥

我がライフル射撃部は近年、物的転換期に入っている。更新の期である。代々諸先輩方の蓄積してきた物資は老朽化し、使用不能となった。SBは全て順次廃銃、ARは部員数に比して不足、部室には昔のトロフィーと不能装備が散逸し、「新小屋」はものの10年で朽ち果ててしまった。
そこで、当然ながら諸収入で装備更新を図る。然し、皆さんご存じの通り射撃機材は高価にして、昨今は益々の高騰を見せている。なかなか裕福ならざる我が部の財政ではあるが、一つずつ地道に購入し、この課題を解決していきたい。云々。
…このような記述がこの4年ほど連続して記録されているのが、我が部の現状である。貧困である。貧困スパイラルである。
 我が部の困窮具合を語って同情を誘ったところで、全く別の話題に移る。祭典である。来る7月には、二度目の東京オリンピックが始まる。ライフル射撃部員としては勿論射撃競技が開催されることに言及すべきなのだろうが、「韋駄天様」は私に想定外をもたらした。
国公立戦の主管である。本来ならば関東が共同で行うはずであったが、五輪の期間に都心では銃器の運搬を自粛すべき気運が高まる可能性があることから次年度担当の中部と交代したのである。名工大との共同主管なので、彼らとの連絡を密にして国公立戦を善きものとすべく鋭意努力する所存である。
以上、乱筆雑記。今回は合併号というお話なので、実のある文章は先代主将絹笠雅人殿にお譲りすることとして、取り敢えず現状をまとめた。

 最後に、中川先生御退官パーティーにお越しくださった皆様、並びにその際にライフル射撃部に対しご寄付下さいました皆様には、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。頂きました寄付金は、有り難く装備更新に使わせていただきます。これからも、名古屋大学ライフル射撃部のことをお気にかけていただけましたら幸いでございます。






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